虹色シンデレラ
一旦私の腕を放した哲翔さんが、1歩、2歩と詰め寄って来る。

思わず後ろに下がった私は、壁に背中がぶつかって止まった。


「人目があるんだから、祐介とは馴れ馴れしくするなって言ったよな」

「馴れ馴れしくなんか」

「2人でコソコソ会っていれば誤解されるんだよ」


何?哲翔さんの怒りの原因はそこ?

馬鹿らしい。

たまたま話していただけじゃない。


「前にも言ったけれど、祐介くんは以前からの友達です。会えば話もするし、お母様に叱られた原因にもかかわっているんだから、気にしてくれるのも当然。それを、馴れ馴れしくだなんて思う哲翔さんがおかしいのよ」

「俺はただ、誤解されるような行動はするなって言ってるんだ」


なるほど。

許嫁として、清廉潔白であれと。

哲翔さんの気持ちとは関係なくってことね。


なんだか急に腹が立ってきた。
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