虹色シンデレラ
俺が祐介の存在を知ったのは中三の夏だった。

私立の付属中から高等部への進学を決めた時、父さんに呼ばれた。

「実はお前には双子の兄さんがいるんだ。高校からは同じ学校に進学することになる」

いきなり言われ、驚いた。

中学入学の時、養子だということは聞かされていた。

でも双子なんて・・・


双子ってことは、同じ時間を生きてきた人間。

もしかしたら、俺がそいつでそいつが俺だったかもしれない。

そう思うと不思議な気分だった。


兄貴は生まれてからずっと祖母に育てられてきた。その祖母が亡くなったのをきっかけに、高校からは東京で一人暮らしをすることになったらしい。

どんな人だろう。

顔は似ているんだろうか?

俺はドキドキしながら春を待った。
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