虹色シンデレラ
「あなただって、哲翔が好きで一緒にいるわけではないでしょう?」

うーん、どうなんだろう。

「私には哲翔が全てなの。他には何もいらない」


「じゃあどうして」

別れたんですか?と言いかけた私。


「一時の気の迷いなのよ」

だから返してと咲良さんは言っている。



「お願い、返して」

目を潤ませながら、咲良さんは繰り返す。


だけど、哲翔さんは物じゃない。

本人気持ちを無視してこんな話をするべきじゃない。



「ごめんなさい。お話がそういうことなら、失礼します」

私は席を立った。


今日ここに、私は来るべきじゃなかった。
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