虹色シンデレラ
「待ちなさいよ」

私の背中にかけられたヒステリックな声。


次の瞬間。

ガチャンッ。

ガラスの割れる音とともに、

ドンッ。

何かが倒れる音。


私が振り返った先に、咲良さんが倒れていた。


「咲良さん、しっかりして」

さすがに駆け寄ってしまった。

「哲翔を、呼んで下さい」

倒れた拍子に額を切った咲良さんが、「お願いします」と手を合わせる。


こうしている間にも、周囲からの視線は強くなる。

ホテルの関係者も少しずつ近づいてきている。

この状況では、哲翔さんを呼ぶしかない。


私は哲翔さんに電話をし「今すぐ来て」と伝えた。
< 339 / 579 >

この作品をシェア

pagetop