虹色シンデレラ
「昨日、またいなくなったそうだね」

「えっ」

お父様が発した言葉が自分に向けられたものと気づくのに、数秒かかった。


確かに、一時的に連絡が取れなくなった。

でもそれは・・・


「父さんっ」

哲翔さんが言いかけたところを、

「おまえは黙っていなさい」

強い口調。

うわ、怖。


家でのお父様は基本にこやかなことが多く、怒った顔を見たことがなかった。

もちろん、私は叱られたことがない。

でも、今のお父様は間違いなく怒っている。


「皆が心配するとは思わなかったのか?」

「すみません」

私にも言い訳はあるけれど、心配をかけたのは確か。

言い返す気にはなれない。
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