虹色シンデレラ
いつもは吸わないたばこを手にしたお父様が、おもむろに火をつけ「フー」と煙を吐く。

そして、まっすぐに哲翔さんを見た。


「こんなことで、高宮の跡取りになれるのか?」

えっ。

「あなた」

とっさに出たお母様の声にも、お父様は無反応で、

「高宮の家を潰してしまうだけの後継者なんていらない。お前の行動次第では、この先の事を考えないといけない」

「・・・」

悔しそうに唇を噛む哲翔さん。


哲翔さんは高宮家の養子。

跡取りとして引き取られてきたと聞いている。

それを・・・


私は苦しくて、哲翔さんを見ることができなかった。
< 353 / 579 >

この作品をシェア

pagetop