虹色シンデレラ
長い沈黙の時間。

重苦しい空気は、お父様が仕事に出かけるまで続いた。



バタンッ。

大きな音を立てて、哲翔さんが部屋を出て行く。

気になって後を追おうとしたところを

「虹子さん」

お母様に止められた。


「放っておきなさい」

「でも・・・」

あんな哲翔さん、心配で放っておけない。


「起きてしまったことはどうにもならないわ。目を背けずに今できることをするしかないの」

いつもは厳しいばかりのお母様だけど、今は様子が違う。
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