虹色シンデレラ
「ごめんなさい。何?」

哲翔の部屋を出ると廊下に乃梨子さんが立っていた。


「奥様がお呼びです」

「お母様が?」

「はい。ちょうど春物のコートをお選びでして、虹子様の春物も一緒にとのことです」

「へー」

お母様は高宮家の奥様であると同時に、ベテラン女優。

簡単に買い物には出かけられない。

仕事用の服は専属のスタイリストさんが選ぶし、普段着る物やパティー用のドレスのほとんどはお気に入りのデザイナーによるオーダーメイド。

あとは、時々デパートの人が来るくらい。


「ご都合がよければおいでくださいとのことです」

「はい。すぐいきます」


乃梨子さんは私の返事を持って戻って行き、私は哲翔に声をかけてから一旦自分の部屋に戻った。
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