虹色シンデレラ
「失礼します」

来客用の部屋に入ると、壁一面に服や布地がかけられている。

すごっ。


「ああ、虹子さん。春物のドレスとコートを作ろうと思うの。あなたも気に入った物があれば選びなさい」

「・・・はい」


いつの間にか私の前に、いくつかの布地とデザイン画が置かれている。


「これなどいかがですか?」

お母様と古くからつきあいのあるデザイナーさんがすすめてくれる。

うーん、確かに素敵。

流行にとらわれないシンプルなデザインで、長く着られそうなスプリングコート。


私もすっかり気に入り、作ってもらうことに決めた。

「お色はどうされますか?」

「うーん」

本当はベージュやカーキの落ち着いた色が好きなんだけど・・・
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