虹色シンデレラ
「春物なんだから、明るい色がいいよ」

えっ。

いきなり声がして、振り返ってしまった。


「哲翔」

「哲翔、あなた何してるの」

お母様も驚いている。


「虹子がなかなか帰ってこないから、様子を見に来たんですよ」

悪びれもせず部屋に入り、ソファーに座り込んだ。


「何か予定があったの?」

突然の哲翔登場にお母様も不思議そう。


「いいえ。気になったから見に来ただけですよ。ちなみに、俺の好みはそこのリラ色です」

そう言うと、目の前の薄紫色の布地を指さす。

リラ色?
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