虹色シンデレラ
「おーい、今年卒業の人は前に並んで」

店長の声で、私、未来、祐介くんも前に並んだ。



「ちょっと早いけれど、卒業おめでとう。そして、今までお世話になりました。ありがとう」

店長が目を潤ませて頭を下げる。


違うよ。

ありがとうって言うのは私たちなのに。

ここでバイトをする仲間は店長の人柄が大好き。

だからやめる人はいない。

そのせいかバイト希望者も多いんだけれど・・・


「春になる前に後任の推薦をお願いします」

記念品のエプロンを渡しながら、店長が声をかける。

そう、この店のもう一つの伝統は、やめていく先輩が後輩を推薦すること。

店長は先輩を信用して採用する。

だから、やめていく人もいないし、バイトの空きも出ない。

途中でやめたのは私が初めてかな。
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