虹色シンデレラ
ちょうどその時、

ブブブ ブブブ

携帯の着信。


哲翔からだ。


「もしもし」

『もしもし虹子。珍しく外出したんだな』

「うん。大学に残していた荷物も片づけたかったし、気分転換もしたかったしね」

『そうか』

最近ずっと家にいたから、急に姿が見えなくて心配してくれたみたい。


「なあ虹子、哲翔じゃなくて俺にしないか?」

それは携帯とは反対側の耳にささやかれた言葉。

えええ?

驚いて立ち上がり、祐介くんを振り返った勢いでグラスを倒してしまった。

「あ、ああああ」

お水がテーブルの上を広がっていく。
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