虹色シンデレラ
「こら虹子、気をつけろよ」

祐介くんも慌ててハンカチを出す。

「ごめん。祐介くん、服が濡れるよ」

近くのふきんに手を伸ばし、お水を拭き取る


よかった。

テーブルを濡らしただけですんだ。


もう、祐介くんが変なこと言うから。


あ、ああ、哲翔。

忘れてた。


「もしもし」

恐る恐る声をかける。

きっと、聞こえていたはず。


『いつ帰る?』

低く冷たい声。

「えっと、5時くらいかな」

『用事が済んだらすぐに帰ってこい』

「はい」


怒っているよね。

きっと、聞こえたんだよね。
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