虹色シンデレラ
ガチャンッ。

部屋に入るなり、鍵を閉められた。



私の部屋とほぼ同じ作りの哲翔の部屋。

それなのに、私は部屋の鍵なんてかけたことがない。

その必要性を感じたこともなかった。



力任せに腕を引かれ、奥の寝室に連れて行かれる。


初めて入る哲翔の寝室。

寝具や小物は黒で統一され、余計な物はないさっぱりした部屋。

ベッドサイドに置かれた本だけが、やけに存在感を主張する。

ブラインド越しに窓差し込む夕日が、まぶしい。


ドンッ。

状況を理解する暇もなく、ベットに投げ出された。



「な、何のつもりなの」

見下ろす哲翔を、精一杯にらみつけた。
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