虹色シンデレラ
「離してっ」

両手で哲翔を押しのける。


不意を突いたからだろうか、私はベットから逃げ出す事ができた。


寝室のドアを開け、積まれた本にまずきそうになりながら走った。


追いかけてくる気配も、声がかけられる様子もない。

正直、哲翔がどんな顔をしているのか見てみたかった。

でも、今は振り返らない。

いくら哲翔が気になっても、振り返ってはダメ。



ダンッ。   ダンッ。

哲翔の部屋の締まる音と、私の部屋に入る音。


たった数メートルしか離れていない廊下を走り抜けた。
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