虹色シンデレラ
ブブブ ブブブ。

珍しい、ゆりあからの着信だ。

『もしもし、哲翔?』

「ああ」

家にいるときは「哲翔さん」と呼ぶゆりあは二人の時には友人に戻って「哲翔」と呼ぶ。


「なんだ?どうかしたか?」

「どうかしたのは哲翔でしょう。昨日の件、菅原さんが必死に隠していて奥さまや旦那様の耳には入っていないけれど、時間の問題よ」

「だろうな」

家の中で、あんなことをすれば父さんたちの耳に入らないはずがない。

「いいの?」

「何が?」

「虹子さんは部屋から出てこないし」

「虹子、大丈夫なのか?」

「今更言う?」

確かに、原因を作ったのは俺だ。
< 460 / 579 >

この作品をシェア

pagetop