虹色シンデレラ
「奥様、お食事の用意が整いました」

廊下から声がかかる。


今日も哲翔のいない食卓に、さあ向かおうと腰を上げたとき、

「ねえ、虹子さん」

お母様に呼ばれ、

「はい」

私は振り返った。


「無理をしてはダメよ」

え?

「きっと哲翔が辛い思いをさせているんだろうけれど、自分に嘘をついてまで我慢したらダメ。そんな生活は続かないから」

「お母様」


最近のお母様は本当に優しい。

もちろん厳しいことを言われることもあるけれど、どれも私や哲翔を思ってのことと感じられる。
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