虹色シンデレラ
「失礼します」

声をかけ、私はおばあさまの部屋に足を踏み入れる。


母屋を中心に、私たちの部屋とは反対側の棟。

10年ほど前に立てられた平屋のスペースはバリアフリーが考慮されたゆったりとした造りになっている。


「急に呼び出してごめんなさいね」

いつもより少し堅い表情のおばあさま。


「いいえ」

答えたものの、私も緊張している。



「どうぞ」

佐知さんが紅茶とクッキーを出してくれた。


「ありがとうございます」

おばあさまと向かい合って腰を下ろす。
< 499 / 579 >

この作品をシェア

pagetop