虹色シンデレラ
「早いものね」

「え?」

何がですかと聞きかけて、言葉を飲み込んだ。


もう春なのね。とか、

虹子さんと出会って1年たつのね。とか、

哲翔ももう社会人なのね。とか、

色んな意味がある。

でも、おばあさまの言葉から『悲しみ』みたいなものが伝わってきて口に出せなかった。


「どうぞ、紅茶が冷める前に召し上がれ」

「はい。いただきます」


ん、美味しい。

ちょっと苦くて、でもとってもいい香り。


「ふふふ、美味しいでしょ?」

うれしそうなおばあさま。
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