虹色シンデレラ
「おばあさまは納得したんですか?」

「仕方ないじゃない。もう娘は生まれていたし。それに、そんな時代だったのよ」

時代って、

「随分怒ったり泣いたりもしたけれど、英哲さんに子供ができないとわかったときは、その娘を頼ることになった。因果な話よね」

悲しそうに、寂しそうに、おばあさまが私を見た。


「虹子さん、あなたには感謝しているわ。いきなりの縁談を嫌がらずに受けてくれて、哲翔のことにも目をつむってくれて、色々と苦しい思いもさせたと思う」

「おばあさま」

「あなたと哲翔の結婚は高宮家のエゴみたいなもの。あなたは蹴ることだってできたのに」


確かに、そんな選択もできた。

でも、決めたのは私自身。


「大丈夫です。後悔はしていません」

「そう」

冷めてしまった紅茶を口に運びながら、『ふっ』とおばあさまが息をついた。
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