虹色シンデレラ
「母さん、ただいま」

「お帰り」

「父さん」

「よく帰ったな。まあ上がりなさい」


今回の里帰りは非公式なもの。

前回の初泊まりのようなイベント性はなく、ひっそりと帰った。


玄関で久ぶりの再会をして、リビングでくつろぐ。

高宮家に行く前と変わらない時間がそこにはある。


「虹子、コーヒー飲むか?」

台所から漂ういい匂いに、私の緊張もほぐれていく。

「いただきます」

大好きな父さんのコーヒー。

この味に餓えていた。
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