虹色シンデレラ
「いいか祐介。哲翔が頼んだからと言ってお前を許すわけじゃない。許す気もない。でもな、お前の生い立ちには私も少なからず責任があると思ってきた。だから、一生かけて罪を償え。そして、二度と虹子に近づくな。いいな」

「はい」


「それから、哲翔。咲良のことだが、昨日意識が戻ったと連絡があった。とはいえ、お前のこともお母様のことも覚えてはいないようだが、少しずつ回復していくだろう」

「そうですか」




咲良が飛び降りた後、俺は父さんと母さんに呼ばれ約束させられた。

『今後どんなことがあっても高宮家として咲良の面倒を見る。その代わり、もう2度と咲良には会わない』

それが俺にとっても咲良に取っても最善策だと説得された。

不満がないわけではない。

無責任な気もする。

でも、今の俺には限界でもあった。



「祐介には高宮コンツェルンもやめてもらう。今後のことはこちらで考えるから」

「はい」

「哲翔は虹子のことが落ち着いたら出社しなさい」

「はい」


「ったく、手のかかる子供たちだ」とブツブツ言いながら、父さんは仕事に戻った。


俺と祐介はおとなしく書斎を後にした。
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