虹色シンデレラ
1ヶ月間お世話になった先生や看護師さんにお礼を言い、私は乃梨子さんと別荘に向かった。



「もうすぐ着きますから」

「はい」

さすがにこのあたりまで来るのは3度目。

なんとなく見覚えがある。


「お疲れはありませんか?」

乃梨子さんが気を遣ってくれる。

「大丈夫。そんなに気を遣わないで」



事件以来、みんな腫れ物に触るように私に接してくれる。

その気持ちが分からなくもない。

「本当に大丈夫ですか?」

心配そうな顔。

「ええ」

本当に平気だから。
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