この可愛いヤツがオオカミ君だったりするんですが。
私は10年ぶりにときめいた。
女を捨てたわけでもない、女を忘れたわけでもない、私は紛れもなく女。
目が合ったとたんに一目惚れ、あり得ない事が今目の前にある。
やば…… 可愛い…… 何よ、ドキドキしてる。
「 僕、まだ何もわからないので手取り足取りすべて教えてください、先輩 」
あー、手取り足取りだって。
そんな… すべてとか? 何を? 何をよ。
「 鈴木さん、彼よろしくね 」
「 あ、はい。わかりました、じゃ鈴木君一緒に来て 」
「 はい!着いていきます 」
ん、よろしい、着いていきなさい。
は~ イケメンね。
こうして一人のスタッフを新たに迎えたはいいが男性は初。
何をどう教えたらいいやら?
まずは仕事する部屋を見せ、席を決めて落ち着く。
そしてなぜか会話が途切れ沈黙。
……私一応上司で先輩なのに緊張してる。
どうしよう、指示待ちだよね?
んー、何してもらおうか…
何してじゃなくて、何させようか…
じゃなくて!!
「 鈴木君、ちょっと来て 」
「 はい、先輩 」
…可愛い。
振り向いたあんた、可愛い。
「 先輩?」
はっ!!
「 ち、近いから!」
「 すみませんっ 」
いいよ、本心はいいんだけどここじゃダメ!