この可愛いヤツがオオカミ君だったりするんですが。

車の中で私は一人項垂れた。

恋に疎い結果、恋に目覚めてこの結果だ。



「 最悪… バカ、アホ、最低…… だからモテないだわ、あんな可愛い子が彼女だった奴に一目惚れなんてただのバカじゃん 」



やっぱ見合いの方が私には合ってる?

恋愛にも発展してないのに悩む私がどうかしてるよね?

あー…………



「 先輩!?大丈夫ですかっ」



あ、鈴木君…



助手席に座る彼が私に近づき心配する。



「 さっきは電話って言ってたけど本当は気分悪いんじゃないですか?」



優しいね、嘘ついただけなのに。

でもね、それよりも気になるの…

元カノと会ってどうだったの?

より戻したいとか思った?



「 先輩、ほらやっぱ辛そうですよ。このまま早退した方がいいです 」



バカね、私なんか心配してさ。

このまま帰ったらまさに地獄……

一人で勝手に悩んで想像して妄想して、落ち込むんだから。



「 大丈夫、何でもないから。少し早いけどお昼にしよう 」

「 本当に?」

「 何、大丈夫だってば 」

「 怪しい 」

「 怪しくない 」

「 じゃ熱見せてください 」

「 え、あっ… 」




じわじわと熱を帯びるのがわかる。

恥ずかしい……彼が私に触れていると思うだけで疼く。



「 先輩、そこの脇に車止めてください 」



熱を見た彼が私に言うと、車を停めたとたんに降りて私をも降りるよう言う。

そして、ドアを閉めた私をそのまま押し付けた。



「 鈴木君?スーツが汚れちゃう、しばらく洗車してないから… 」

「 先輩、会って早々ですが聞きます。僕を部下じゃない違う目で見てます?」



スバリ、そうです。

とは言えないほど硬直した。



「 鈴木先輩、答えてください 」

「 い… 」



嫌です、だって言えないもん!

一目惚れしたなんて、恥ずかしい!


年下部下になんて言えるかー!!



< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop