この可愛いヤツがオオカミ君だったりするんですが。

言えないものは言えない。

今はただ、この場を切り抜けるのみ。



「 あのね鈴木君、誰だって異性に触れられたらそりゃドキッとするから体温上がるでしょ。それだけ、気にしすぎだから 」

「 あ… 確かにそうですね、すみません 」



失礼しちゃう!…なんてね、はぁ。

申し訳ないけどあんたに一目惚れしたなんて絶対言わない。

でもこのままだとバレそう……



気を取り直して仕事。



「 次の美容室は~ 」

「 美容室ロミですね 」

「 あー、ロミさんか… 」

「 なんですか?」

「 ん、別に 」



美容室ロミには知り合いがいる、言わば友達。

でも友達とは口にしない微妙な仲。



久しぶりに会うのか、元気だろうけど。



緊張しながらも久しぶりに会う顔に平静を装い行く。




「 こんにちは、失礼します 」

「 ……なんだ、あんたか 」

「 ええ、ご無沙汰してます 」

「 相変わらず… ブスだな、髪傷んでるしケアしろよ 」



ム、ムカツク!!



「 新人を連れてきたので紹介します、鈴木… 」

「 はいはい、今暇だし座れよ 」



口の悪いオーナー、上屋 颯人。

その昔、私の友達以上恋人未満だった微妙な関係の奴。

それは今も変わらないが体の関係だけはもうない。

切れない腐れ縁というところ。


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