命の花が散る頃に。
【千咲side】
僕はエトさんに連れられて小さな部屋にやって来た。机は3つ置かれている。
「ハヤトくん。今日から新人さんが入るんで頼むわ。俺、仕事に戻る」
「あ、分かりました!」
ハヤトさんと呼ばれた男の子は、そう言って頭を下げた。エトさんは、そのまま部屋を出ていく。
「……初めまして。俺はハヤトと言います…ここの部屋の担当区域は君が住んでいた町。基本、俺ともう1人の2人で担当しています」
ハヤトさんはそう言って微笑んだ。
「……あの、もう1人は――」
「――ハヤト。強制転移から帰ってきて真相聞いたらさ……て、ん?」
僕の言葉を遮って、部屋に入ってきた男の子に俺は驚いた。向こうも驚いている。
「……優斗?何で……」
「千咲……」
「え、アルト……知り合いなの?」
「うん。僕が前回の仕事で関わった子だよ……ちなみに、僕は黒沢 優斗じゃなくてアルトって名前ね」
そう言って優斗――いや、アルトさん?は微笑んだ。
「アルトさん?」
「普通にアルトって呼んでよ。普通にタメ口で話していいから!……で、千咲をこれからなんて呼べばいい?死神になると、名字が無くなって名前も変わっちゃうんだよね……」
「……僕の死神の名前は、チサキというらしいです!」