命の花が散る頃に。
【アルトside】
チサキは今日から僕の部署に入るらしい。僕は「あ、そうだ。ハヤト、連続殺人犯についてなんだけど」と上司から聞いた話を話し始めた。
「何か…日付を重ねる毎に、犠牲者の数は増えていってたんだって。まずいと判断した上司は強制転移を決めたそうなんだ」
「そうだったんだ……それで今日は何人の人を霊界に送るわけ?」
「……僕は35人」
通信機に送られてきた仕事を見つめながら呟いた。
「俺は37人。じゃあ、チサキはアルトに任せるわ」
通信機を内ポケットにしまいながら、ハヤトは霊道を通って消えていく。
「チサキ、僕の後を着いてきて。僕が実践を踏まえて死神の仕事を教えてあげる」
僕も霊道を開け、霊道を通る。チサキも僕の後をゆっくりと着いてきていた。現世にある屋根の上に着地し、僕は資料を眺める。
「これは死神用折りたたみ式携帯型通信機……通信機って呼んでるんだけど、ここに書いてあるのは資料っていって亡くなる人の情報が詳しく書かれているデータのことなんだ」
通信機の画面を見せながら僕は説明する。
「……アルトが死神だったってことは、アルトは僕の寿命を知ってた上で僕に接していたわけか」
「ご名答……さて、もうそろそろ来るから移動しよう」
僕はチサキの腕を引っ張り、空高く飛び上がった。