命の花が散る頃に。
23時近く。僕が廊下をフラフラ歩いていると「悲しい……誰か、僕のそばに来て」という声が廊下全体に響いた。
……これがあの女子高生が言っていた声かな?
僕はその声を頼りに歩き始める。だけど、全体に響いているから、どこにいるのか、どこの誰なのか分からない。
……とりあえず、亡くなったのが誰かのか、どこで亡くなったのか調べてみる必要があるな。
その時、目の前を黒い人影が通った。僕は慌てて通信機を取り出し、写真を撮る。
死神本部 解析部に写真を送り、この人影は何なのか調べてもらうことにした。数分で返事は返ってくる。
解析するの早いなー、と思いつつメッセージを開けた。解析部からの返事は、この人影の情報。
「――鹿羽 麗羅(しかばね れいら)。10年前、当時17歳だった彼は酷いいじめにより亡くなってしまう。死因は刺殺。場所は××高校屋上」
……なるほど。名字がいじめの原因か。鹿羽が屍に変換できるから……。
僕は通信機を片手に屋上に向かった。屋上に近づくにつれ、物の怪の気配は強くなっていく。
「鹿羽 麗羅!どうして学校に憑いてるの!?」
僕が屋上の真ん中に立つと、出来る限りの声で叫んだ。