命の花が散る頃に。

父はそう言って僕を床に押し倒した。僕の首に父の手が食い込んでいる。上手く息が出来ない。父の手首を握り、振り解こうとするが全く解けない。

「アルト…っ！」

僕は、肩苦しい毎日と厳しい両親が嫌いで家を飛び出した。神界を歩いているとき、不思議な穴を見つけて飛び込んだ。それが霊界へと繋がっており、僕は霊界に迷い込んだ。それが全ての始まりで――

昔の記憶を振り返りながら、その場でもがき続ける。その記憶の中に僕が最近感じている感情の答えがある気がしたからだ。

あれから僕は霊界で暮らしている優しいおばあちゃんに一緒に暮らさないかと言われ、霊界での暮らしを始めた。そのおばあちゃんは死神で、僕に死神にならないかと言われ、死神になった。その時に出会ったのがハヤト。死神の仕事は正直言うときつい。貴族として生活している方が楽だ、と神界の人なら思うほど。しかし、僕は楽しかった。もちろん、身体的にはしんどい。しかし、貴族として生活していた時よりも断然楽しかった。

ハヤトもおばあちゃんも他の死神も神界にいる人たちよりも暖かい。正直、数年が経つ頃には貴族だったことを忘れかけており、死神に馴染んでいたのだ。

……そうか。僕は…死神が大好きなんだ。死神を見下す父が大嫌いなんだ。