命の花が散る頃に。
ハヤトが叫んだ。

「アルトは俺の同僚であり親友だ。アルトのことはよく分かっているつもりでいる。俺は――」

「僕は…」

「――アルトのことが好きだ!」

2人の声が重なる。神界ではあまり聞かない言葉。聞いても冷たく心がこもっていないように聞こえる。しかし、2人の言葉からは本当に好きだ、という感情が伝わってきた。

……2人とも…。

僕はその言葉に微笑む。両親の前では絶対に見せない表情だ。2人がいるからこそ見せられる僕の本当の感情。両親の前では偽りの感情を見せていた。

「なっ…」

気がついたら金縛り?が解けていた。僕は「ハヤト!チサキ!」と2人に近づき、上手く抱え上げると神界では開かないはずの霊道が開き(僕が開けたわけではない)、僕はそこへ飛び込んだ。

父の「もうお前は俺らの息子とは思わないっ!」という言葉を最後に僕の目の前は真っ暗になった。
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