命の花が散る頃に。



ドンッ!

僕は電柱の上から物の怪の様子を伺っていた。

物の怪が動いて出来た風が、僕の羽織っているローブどころかローブの下に着ている黒いTシャツ(ローブの下は自分の動きやすいと思った服を着ればいい)が揺れた。薄い茶色の長ズボンも微かに揺れている。僕の目の前を色づいた紅葉が散った。

僕は刀を握りしめ、飛び降りた。そのまま物の怪を斬って、霊界に送る。僕は深いため息をつき、資料を眺めた。

立花 千咲(たちばな ちさき)。男の子。15歳で亡くなる。20××年12月31日の12時丁度。××病院にて持病で死亡。現在は中学2年生。

「そっか……若いのに……」

僕はそう呟くと通信機の画面をホーム画面に戻してから閉じると、ローブの内ポケットへ通信機をしまった。

死神が現世で仕事をする際、ほとんどの死神は各地にある死神寮(管理しているのは死神で普通の人間も入ることは出来るが許可がいる)というところで生活している。

僕は近くにある死神寮に向かって歩き始めた。

死神寮(見た目は普通のアパート)に着き、中を入るとスーツの上に僕と同じ黒いローブを着た男性が入口付近にある事務室にいた。

中は会社の受付みたいな雰囲気が出ている。

「君は――死神のアルトくんだね?上から聞いているよ。俺はここの管理者のエトワール。よろしく」

エトワールさん……今度からエトさんと呼ぶことにしよう。エトさんはニコりと笑う。僕は会釈し、エトさんに僕の部屋に案内してもらった。
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