貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「ご苦労さまです」
女房について中に進もうとするが、月君がそれを阻む。

「まだ、話は終わっていないぞ」

騒ぎを聞きつけたのだろう。
呆れたように溜息をつきながら、女御が顔を出した。

「碧月、いい加減になさい。花菜はね、最近色々とあってお菓子を作るのを止めているの。別にあなたに隠しているわけじゃないのよ」

「色々?」

「とりあえず、さあ、ふたりとも来て。お茶にしましょう」

え、同席するの? と思ったが女御の手前嫌な顔もできない。

花菜は月君の後ろから付いて行った。


「で、あなたは今日、お菓子を持ってこなかったの?」

「ない。持ってきてもどうせあげてしまうんだろう」

月君はそう言ってチラリと花菜を見る。
花菜はその視線を感じながらツンと澄ました。

そんな二人を見て、やれやれとため息をつきながら、女御は後ろを振り返って包みを取り出した。
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