いつわりツインズ【短編】
精いっぱいの感謝を込めて伝えると、優しい声が聞こえてきて。
「綿谷さんが、頑張ったんだよ。僕は何もしてない。」
その言葉に、私は思いっきり頭を左右に振った。
「そんなこと、ない…!
尾野くんの言葉にたくさん背中を押されて、本当に頑張ろうって思えたの!
あのね、私梨帆とのことがちゃんとできたら伝えたいことがあったの…!」
そこで一旦言葉を区切って、息を整える。
一気にまくし立てたから、引かれちゃったかな…?
ちらりと顔を見ると、“何?”なんて言いたげな、けれどいつもみたいに優しい表情で私の顔を見ていた。