いつわりツインズ【短編】
…何をされたのか、すぐには理解できなくて。
ふわりと抱きしめられている、と気が付いた時には、もう遅かった。
「それ、ほんと?…誰かに言わされてるとかじゃなくて?」
焦がれるような、そんな声。
そんなこと、ないのに。何を疑っているんだろう。
「正真正銘、私の本気です…っわあ!」
言い切ったのと、抱きしめる力を強くされたのと、どっちが早かったか。
きつく抱きしめてくれる彼の背中に、おずおずと手を回した。