いつわりツインズ【短編】

尾野くんは、私たちを絶対に間違えない。

いつもずっと一緒にいる友達だって私たちの上履きをちらっと見ているのに、1回も、だ。


綿谷さんって私を呼ぶ、その声が好きで。


紗帆って呼ばれたらきっと真っ赤になっちゃうんだろうなって思う。

いつも眼鏡をかけているけれど、目の奥は優しくて実はイケメンだってこと、私しか知らなくていい。

それくらい、好きだ。


でも、私はさほりほの紗帆。

きっと誰にも、それ以上でもそれ以下でもない。

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