桜の城のノクターン
仕方なくドアに近いリズが開けにいく。
ドアノブに手をかけ、ドアを押そうとしたとき、婦人がお茶の用意を終えて戻ってきた。
もちろんその手にはティーポットやお菓子を載せたトレーを持って。
「あらぁ、ミラちゃんが開けてって言ったの?ごめんなさいねぇ、ほんとそのお部屋が好きみたいで。私達も今日はそのお部屋でお茶にしましょう。悪いけれど開けてくださる?両手が塞がっていて開けられないのよ」
婦人の話が終わるまで手を掛けっぱなしだったドアノブをまわし、今度こそドアを押した。