桜の城のノクターン
すすり泣くフェニルをつれ、たどり着いたところは、さほど大きくはない公園だった。
ベンチに座らせる。
リズはそこには座らず、フェニルの正面に何気なく立っていた。
涙がおさまる様子はない。
はぁ、と小さくため息をつく。
「いったいどうしたんだ?」
リズはベンチに腰掛けるフェニルの前にしゃがみ込み、下から見上げるような姿勢をとった。
仕事上ではよくやる仕草だったが、日常生活で自分が使う日が来るとは思ってもみなかった。
「・・・ご、め、んなさい・・・」
途切れ途切れにそれだけを告げる。
リズは少々苛立つ心を抑えながら、辛抱強く待った。
やがてすすり泣く声が徐々に小さくなっていった。
「・・・ごめんなさい・・・もう大丈夫です・・・」
泣きはらした目で笑顔をつくっても、少しも魅力的には思えない。
むしろ、痛々しくてみているのが辛かった。
リズはフェニルの横に座った。