桜の城のノクターン


「今日はあのあとどこかへデートでも行ったのかしら?」


唐突すぎるキーナの質問に二人は思わず、食べていたものを吹き出してしまいそうになった。


ごほん、と咳ばらいをひとつして、リズは今日の出来事を、当たり障りのないように話す。


「あら、お買い物に行っただけ?面白いお話が聞けると思って楽しみにしていたのに・・・」


すごく残念、といった顔をする。

本当のことを言えば、もっと過激的な一日だったのだが、そのことを話すと根ほり葉ほり聞かれそうだったので、買い物に行った、としか話さない。




「でも、楽しかったですよ?久し振りに街を歩けて・・・」


キーナは、フェニルのその一言を聞き逃さなかった。



< 141 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop