桜の城のノクターン
ふぅ、と自然に溜め息かでる。
安堵の溜め息か、呆れの溜め息かは定かではない。
「いつもこんなことを?」
不意にシュトラールが少女に声をかけた。
手が止まっていたらしい。
「え、ええ。私の仕事ですから」
「でも、あなたはこの城の【本当】の城主のはずだ。貴女はもうその権利を持っているはず。あんな女主人追い出してしまえばいい」
冷ややかに語られる声に、少女は唖然とした。
何者だ、この青年は?