桜の城のノクターン

少女時々思い出話



二人は食堂に移動していた。

もちろん、花瓶を片付け、掃除もきちんと終わってから、だ。




少女がぽつり、ぽつりと話始める。




「父が…病に倒れる前、私は何不自由ない、いわゆるお嬢様と呼ばれる暮らしをしていました。欲しいものはどんなものでも与えられ、汚いものは見えない生活…」


ふ、と短く溜め息をついて、自分で煎れた紅茶をすする。

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