桜の城のノクターン
ロークは湯船に浮かぶオレンジ色の無機質なものを見つめる。
この城の城主は優しすぎる。
身内に対しては、だが。
仕事に関しては、ロークの計り知れないトコロである。
給与もそれなりに上がってきているので、地位もそれなりに上がってきているのだろう。
何しろ、絶対秘密主義な部署なため執事のロークでさえ、あまり仕事内容は知らない。
秘密にすること、できること、が今の部署に居れる第一条件なのだ。
頑張りすぎて、このバラのようにならなければよいのだが。
リズにとって、今は幸せなのか、常に思う。
自分が拾ったことによって、あの子の人生を変えてしまった。
選ぶ権利があったにも関わらず、自分の思い描く通りの人生を歩ませてしまった。
リズもリズで期待に応えたかったらしくそのために頑張った。
リズにはリズの人生を、と思っていたのに・・・。
バラの花びらが排水溝に吸い込まれていった。