桜の城のノクターン


それほどひっそりと、この監査部(通称)は存在していた。



バッチリ防音が施されているこの部屋は叫ぼうが、何をしようが外に音が漏れることもない。




「シュトラール参りました」


「報告書」


上司は乾いた笑みで端的に用件だけを述べる。



もうこの上司には慣れた。


その笑みの裏に何があるか、計り知れないが、気にしないことにした。


リズは素直に昨日書きあげた報告書を提出する。


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