君は僕のもの 【続】




「で、見たけど…何?」

雑誌から目を離してそう言うと、愛梨の膨れっ面が目に入る。


「何その顔」

クスクスと笑いながらその膨らんだ愛梨の頬を指で突く、すると俺から視線を逸らしてもっと不機嫌そうな顔をする。

けどそれも面白くて反対の頬も同じようにして、
愛梨の頬を両方から摘まんでタコみたくしてみて一人で笑う。


「馬鹿に、してう…でひょ?」

摘ままれたまま喋るから上手く話せないらしい。


「面白いね」

まだ笑いが止まらなくてその手を離しても一人で笑う。

でもそれが、また愛梨の反感を買うらしくさっきよりももっともっと不機嫌そう。


「面白くない!!もう知らない、…樹イヤだ。」

勢い良く雑誌を俺の胸に押し付けて、勝手に人のベッドの中に潜り込んでしまった。

…子供みたい。


とか思いつつもその雑誌に視線を落とす。


良く見ればその雑誌の次のページの中に赤いペンで丸がしてあって、
そこには“普段クールな彼”という見出しで始まる…どうやらこの手の男を落とす方法的なものが書いてあった。

これ…多分、俺のこと?


わざわざ赤いペンで分かりやすく丸をしてある辺りが、やっぱり…

と思う。


自然に緩まる自分の口元。


「ねぇ愛梨」

「……あたし、もう樹と話さないっ」


ベッドの中にいると思われる愛梨に話し掛けるとちゃんと返答が返ってくる。
話さないとか言いながら。


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