君は僕のもの 【続】
「それは知ってるけど…」
「だけど、愛梨は行きたいんでしょ?」
その弄っている眼鏡をもう一度、掛け直すとその眼鏡越しの視線があたしを捉える。
「行きたい…よ?」
何だかやっぱりいまいち分からなくって。
「ならそれが答えだよ」
「…へ?」
するとそれに付け加える様にして『だって愛梨は行かないと後々うるさそうだ』と笑いながらそう言った。
やっぱり分からないけど、
樹は何だかだ優しい。
「ありがと」
だからそんな樹の顔をチラッとだけ見ながらそう言った。
「はいはい」
それに対して樹は薄ら笑みを浮かべて返してくれて、
その後も矢上樹先生、っていうのはちょっとおかしいけど…、樹に結局かなりたくさん勉強を教えてもらっちゃったわけでした。