君は僕のもの 【続】
もしかしたら…
樹はあたしじゃない美菜を。
あたしは樹じゃない翔太くんを。
あり得ないことでもないよなぁ…なんて考えてしまったり。
だけど押しに弱い同士のあたしと翔太くん。とにかくいっつも敵無し、上から目線のドSタイプの樹と美菜。
う~ん、ちょっと違うかな。
やっぱり…
あたしにとっての一番はいつだって樹だね!
辿り着く結論はやっぱりそんな感じで…ていうか、考えるまでも無かったんだけど…。
「ビスケットとかマフィンとか、…まぁケーキとかさ愛ちゃんのだ~い好きな甘い甘~いお菓子も一緒にね」
へぇー…!
何かすっごい美味しそうな感じだな…
「色気より食い気」
頭の中にたくさんのビスケットやらケーキやら、モワモワと雲のように浮かんでいたのに…それはこの声によって掻き消されてしまったわけで。
「何それ…っ!!」
つかさず翔太くんの方を向いていたあたしの視線は横に居るその声の主に向かう。
「愛梨のこと」
フッとまた見下すような笑い方をすると…
「…ていうか近い、離れて」
そう言って近くに居た翔太くんをあたしから遠ざけた。
それに対して翔太くんは『はいは~い』とか言って気の抜けたようないつもの感じで答えると、そのままトイレに行くと言って席を離れた。
同時に樹もふらっとどこかへ行ってしまった。
本当、…猫みたいに気まぐれだからいっつも行動が分からないんだよねっ。