君は僕のもの 【続】
「いつも通り何だけど」
そう言って丁度良く来た電車の中に乗り込むとやっぱり車内は人で溢れていた。
「…そうかなぁ?
何か今日は…樹がすっごく格好良く見える」
ニタニタ笑いながらそんなことを言う。
普段ならそんな意味不明な発言はしないから…何か違和感。
つまり。
単純な愛梨のことだから、それだけ今のテンションは上がってるってことなんだと思う。
ていうか…それより、
「スカート、何か短い」
目を見ていた筈の俺の視線はゆっくりと下に下がって愛梨のスカートを見る。
…別に今、言うつもりはなかったけど、
さっき愛梨を迎えに行った時から微妙に…気にはなってた、って感じ。
「そうかなぁ?…こないだ美菜と買ったんだ~!可愛い?」
やっぱり変だ。
今日の愛梨のテンションはおかしい。
いつもの曖昧な照れたような態度があんまり見られない。
ていうか…俺はそんなところを直せとか思ってたんじゃなかったけ?
けど実際問題、急にこんな感じになると変な気分になって…何ていうか、ちょっと調子が狂う感じ?
「…馬子にも衣装。」
ポツリとそう言うとそれに対して不貞腐れたように愛梨はフンッと機嫌を損ねてしまった。