君は僕のもの 【続】




あれだけ…良いムード作っておいて、

『喉乾いた』って…ちょっと酷くないか!?


「あれ…?もしかして愛梨は何か期待したの?」

薄い笑みを含み隠しながら、樹はあたしの頬に添えた手を離してゆっくりと優しくあたしの髪に触れた。


髪に痛み、感覚、体温。


そんなもの感じないことぐらい分かってるのに、変なくらい熱くて、

何よりも触れられたところが疼く。


「し…してない、よ……」


素直になろうと、そう決めた筈なのに…決意した筈だったのに。

そんな、ささやかな決意なんてもう無い。


俯いてただその樹からの言葉や行動に頬を赤く染めてしまう。


「嘘だ、もっと違うこと…期待してたんじゃない?」

顔を上げなくてもきっと今の樹はこんな表情をしてるんだろうな、


分かってしまうから恐ろしい。


「上向いて」

「嫌だ」

「向いて」

「……ヤダ。」

「向け」


─グイッ!



そのまま顎を掴まれて上に向けられると、口元を三日月のようにさせて笑う樹の姿。


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