君は僕のもの 【続】
教室に入ってから自分の席に向かってそのまま倒れ込むように席についた。
後ろの席に居る樹の周りには相変わらずの女の子集団がいて、その面子も少しずつあたしの頭の中に埋め込まれてきた。
あの子…リーダー的存在なのかな?
とぼんやり考えてみたり。
全然分かんないや、樹の頭の中の全部。
いっそのこと全部が見えちゃえば簡単に上手くいくんだろうな…
「…はぁ、」
悩みごとがあるとすぐに溜め息が出ちゃう。
だからこのネガティブな性格は嫌になっちゃうよね、本当にもうさ。
「おーい!愛ちゃんっ」
やる気もアドレナリンも根性も無いあたしはそのまま机にへばり付くぐらいの勢いで伏せていると、
頭にコツンと誰かの拳が優しく当たった。
“愛ちゃん”という呼び方と声で誰だかはすぐ分かった。
「…なぁに?」
その伏せた状態のままで上を見上げると、朝から眩しいくらいの笑顔をあたしに向ける翔太くんが居た。
相変わらずその翔太くんの顔は女の子みたいで可愛らしい。
…って、そんなこと本人に言ったら怒られちゃうかもしれないな。
「元気無いよ~?どした??」
「あるよ、元気」
これは誰が聞いて元気もやる気もないだろう、って感じの喋り方であたしは言うとそんなあたしを見てケラケラと翔太くんは笑った。
その楽しそうな笑みをあたしにも貰えたら幸せだよ…本当に。
「樹のことでしょ?」
何か不意を突かれた気分になちゃって黙り込む。
「何か美菜がまた変なこと言ったみたいだけどさ…」
頭をポリポリと掻きながら翔太くんはバツの悪そうな顔をしてあたしに申し訳なさそうな顔をするから…ちょっとこっちも申し訳ない気分になる。
「ううん、気にしないで「変なことじゃないわよっ!」」
と、あたしの言葉を遮るようにして登場した人は、バコンと一発。翔太くんの後頭部にデカイものをブチかました。