君は僕のもの 【続】
「…え、?」
キョトンとしつつも、気が付くと樹に腕を引かれてすっぽりと腕の中に納まってしまっているあたし。
後ろに樹がいる。
息が首に掛かるぐらいの距離で…
ドクドク、と着実な音を立てて、あたしの身体は熱を帯びてゆく。
「なんて…ね、」
瞬間、首筋に感じていた熱は冷たさに変わり、冷んやりとしたモノがあたしの首を包む。
無意識にも伸びた手、
指先に触れたチェーン。
「…コレ、って…?」
どんどんぼやけて見えにくくなる自分の視界を、どうにか堪えながら。
けどその首筋の冷えた温度は、頬を伝う温かいモノによって温度を高めてゆくような気がした。
「ネックレス」
全く恥ずかしがる様子も照れる様子も見せずに樹は淡々と答えてくれた。
…誕生日に、このリング貰ったのに?
不意に右手の薬指を見て思う。
それなのに…ネックレスまであたしにプレゼントしてくれた樹の優しさが嬉しい。
「…ズルイよぉ…っ…」
いっつもそうだ、
面倒臭いとか言ってて、適当にあしらったりする癖して…
サプライズみたいなことばっかするんだ。
こうやっていっつもあたしを泣かせるんだ…樹は、
だからズルイ。
「そう?」
不敵に樹は微笑んで、後ろからあたしの頬に口付けをした。